e食材辞典

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新鮮な食材の見極め方や旬の時期、下処理の仕方からその調理法まで、
毎日のお買い物や献立づくりに役立つ情報が満載です。

食材解説・監修|神戸女子大学家政学部教授 後藤昌弘(農学博士)

野菜類

ホウレンソウ

ホウレンソウ

この食材のレシピ

分類 アカザ科ホウレンソウ属
原産地 西アジア
学名 Spinacia oleracea
外国語名 spinach (英)、epinard (仏)
由来 菠薐(ほうれん)とは、ほうれん草の栽培がはじまったペルシャからきたという説と、ネパールから唐に伝わったので当時のネパールの地名「頗陵(ポリン)国」に由来するという説がある。
歴史背景 コーカサスからイランにかけて野生種が存在する一年草。ペルシャ(現イラン)で栽培が始まったとされる。中国には唐の時代にネパールの僧によって持ち込まれ、中国で東洋種が生まれたとされる。ヨーロッパには10世紀頃伝わり、西洋種が生まれた。
伝来 東洋種と西洋種があるが、東洋種は江戸初期に中国から、西洋種は江戸末期から明治初期にかけて欧米から渡来した。
時期 一年中出回るが、冬が旬。
国内分布 全国各地で栽培されている。冷涼な気候を好み、暑さに弱いので高温期は高冷地で栽培される。関東では埼玉、群馬、茨城、栃木などが主産地。夏は北海道、長野、栃木など。
特徴 緑黄色野菜の代表。栄養的にも優れた野菜。東洋種と西洋種があり、東洋種は葉が薄くて細かく、アクが少なくて甘みがある。西洋種は東洋種よりアクが強くて大味だが、収穫量が多い。和洋中いずれの料理にも合う。和食ではおひたしや卵とじや和え物、西洋料理ではバター炒め、クリーム煮、グラタンなど、中華料理では炒め物やスープに使われる。またイタリア料理ではパスタに練り込んだりもされる。最近では生のままで食べられるサラダほうれん草も出回っている。
品種名 山形赤根、兎城、ビロフレー、ミンスターランド、豊葉、治郎丸、ソロモン、オラクル、おかめ、アトラス、ぬくしな
下処理 アクが強いので、サラダ用以外は塩ゆでし、水にさらしてから用いる。たっぷりの熱湯を用意し、温度を下げないように沸騰させた湯に根元(軸の太い部分には、火の通りをよくするため、十文字に切り込みを入れておくとよい)から入れてゆで、すぐに冷水にとって流水でさらす。湯の温度を急激に下げないよう、一束を3~4回に分けてゆでるとよい。
料理名 お浸し、ごま和え、くるみ和え、白和え、ピーナッツ和え、ほうれん草の甘酢かけ、ほうれん草のナムル、バターソテー、オムレツ、キッシュ、ほうれん草と牛肉のオイスターソース炒め、ほうれん草のクリームグラタン、シチュー、ほうれん草のパスタ、ほうれん草カレー、常夜鍋
調理法 最近はくせの少ない西洋種と葉がぎざぎざで香りの強い東洋種をかけ合わせたものが多い。またアクが少なく生で食べられるサラダ用ほうれん草も人気。和え物や汁物はもちろんのこと、炒め物、グラタン、クリーム煮など、いろいろな料理に使える。脂溶性ビタミンのカロテンは油と一緒に食べると効率よく、また鉄はビタミンCや良質たんぱく質と一緒に摂取することで吸収率がアップする。
加工品 冷凍ほうれん草、ほうれん草の缶詰
選び方 出回っているものは葉先の丸い西洋種がほとんど。葉は緑色が濃くてつやがあり、肉厚で大きくピンとした張りがあるもの、茎はあまり太くなく丈が短くてしっかりし、根元の赤みが鮮やかで株元が小さくて密なものがよい。
保存方法 乾燥しないよう霧吹きなどで水をふき、ポリ袋などに入れて冷蔵庫へ(野菜庫に立てて保存する)。またサッとゆでて冷水にとり、水気を絞って冷凍保存してもよい。
栄養 β-カロテン、ビタミンB群、E、C、鉄、カリウム、葉酸を豊富に含み、栄養的にバランスのとれた野菜。
備考 ほうれん草を食べて恋人のオリーブを助ける…アニメ・ポパイは、ほうれん草の缶詰の宣伝用に1929年にアメリカで放映されたもの。当時アニメは大人気だったが、肝心の缶詰の売り上げはいまいちだったとか。