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加齢とともに心身の活力が低下し、要介護状態の一歩手前であるフレイル。フレイルの予防にはバランスのよい食事をとることが前提ですが、中でも重視されているのがタンパク質を十分に摂ること。体格に関係なく、1日70g以上タンパク質を摂取するとフレイルのリスクが低下するというエビデンスも出ています。
では、70gのタンパク質を摂るには具体的に何をどれだけ食べたらいいのでしょうか?
鶏胸肉(皮なし)80g、鮭の切り身80g、卵1個(55g)、納豆1パック(40g)、木綿豆腐1/4丁(80g)、牛乳200ml、ご飯(120g)2杯、食パン(6枚切り)1枚。これだけ食べてようやく70gのタンパク質が摂取できることになります。食欲が低下した高齢者にとって、この量を食べるのはなかなかハードルが高いもの。そこで、いつもの料理に混ぜたり、おやつで手軽に補ったりと、普段の食生活に「ちょい足し」することで摂りきれない栄養素を補うコツをご紹介します。
調理不要でそのまま食べられる市販の食品には、タンパク源となるものがいろいろあります。常備しやすく、活用頻度の高いオススメの「ちょい足し」食品は以下の4つ。保存性が高いものが多いので、常備しておくと手軽にタンパク質を補えて便利です。
サラダチキン | 鶏胸肉は脂質も少なく、1枚(80g)で約18gの良質なタンパク質を含む食材です。パサつきやすい胸肉ですが、サラダチキンはしっとり柔らかく、皮もないので食べやすいのが特長。最近はいろんな味つけのものが売られていて、バリエーションも豊富です。スライスしてそのまま食べたり、サラダや和え物、サンドイッチの具にしたり、幅広く活用できます。 |
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缶詰 | サンマのかば焼きや焼き鳥など、こちらもバラエティ豊富。少量で食べきれるところも使いやすいポイントです。サンマのかば焼き1缶(70g)、焼き鳥1缶(65g)で約12gのタンパク質が含まれます。魚は骨まで食べられるのでカルシウムも補えて一石二鳥。 |
プロセスチーズ | どんな食材とも相性がよく使いやすい「ちょい足し」食品。カルシウムが豊富なのでカルシウム不足の予防にも。26gで約6gのタンパク質量です。 |
練り製品 | 魚肉ソーセージやかまぼこ、さつま揚げなど。間食や朝食のおかずに重宝します。50g程度で約6gのタンパク質が摂取できます。 |
牛乳から脂肪分を取り除いて粉末にしたスキムミルク。カロリーは牛乳の約半分で、カルシウムとタンパク質の量は牛乳と同じくらいしっかり摂れる優れものです。活用の幅も広く、コーヒーや紅茶に入れたり、牛乳のかわりに料理やお菓子作りに使ったり。粉末のままカレーやカップスープ、オムレツ、ヨーグルトなどに加えるとまろやかさやコクがプラスされます。
スキムミルク大さじ1におよそ2gのタンパク質が含まれています。保存もきくので、常にキッチンに置いていろんなものに「ちょい足し」してみましょう。自然とタンパク質の摂取につながります。同様に使える食品としては、きなこも見逃せません。大さじ3で約7gのタンパク質が含まれ、そのほかにもカルシウムや葉酸、鉄分、食物繊維が豊富です。
ひと口にタンパク質といっても、タンパク源となる食品には肉、魚、卵、乳、大豆といろいろあります。食品によって含まれるアミノ酸のバランスや量は異なるので、単一の食品に頼るのではなく、いくつかの食品を組み合わせて摂ることが大切です。市販品で手軽に「ちょい足し」してムリなくタンパク質を摂る習慣を身につけてみませんか。
府川則子
先生
女子栄養大学栄養学部准教授。前東京都健康長寿医療センター栄養科長。日本糖尿病療養指導士、栄養サポートチーム専門療養士、病態栄養認定管理栄養士、がん病態栄養専門管理栄養士。著書『60歳からの血糖コントロールごはん』女子栄養大学出版部。
1人分 147kcal 食塩相当量 1.4g
1人分 197kcal 食塩相当量 1.7g
1人分 207kcal 食塩相当量 0.7g