乳がん患者さんの検査・治療・生活

目次

総合監修

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横浜市立大学附属病院 消化器・一般外科 診療教授

利野 靖先生

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胃がんになったら

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胃がんは、治療によりがんが消失してから5年経過すると再発する可能性は低くなるため、治療から5年再発しないことを治癒の目安としています。

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胃がんの治療法は、がんが発生した場所とがんの進み具合で決まります。適切な治療を受けるためには、まず、医師による正しい診断を受け、ご自分の病状を理解し、適切な治療法について知ることが大切です。

がんと診断されたら、「どうして自分が…」「家族にどう話したらよいのか…」「今後の生活は?」「仕事は?」など不安や悩みでいっぱいになって何も考えられなくなってしまうのは当然のことです。

決して一人で抱え込まず、不安な気持ちを家族や友人など身近な親しい人に聞いてもらいましょう。 自分の思いを口に出して話すことで気持ちが落ち着くこともあります。治療や生活の不安・疑問について家族と話をすることは大切ですが、治療方針についてわからないことがあれば、担当医や医療関係者に相談してみてください。

診断後、治療が始まるまで

家族や親しい人に話を聞いてもらう(がん相談支援センターや患者会に相談することも)

自分のがんについての情報を集める(「がん情報サービス」などのホームページを活用、後で医師などに聞くためのメモをとる)

治療に向けての準備をする

医師から自分の病気、治療方針についての説明を受け、疑問点を質問する

必要に応じて、セカンドオピニオンを受ける

療養手帳をつくる

治療に臨む

監修:片井均、朴成和「国立がん研究センターのがんの本 胃がん」、小学館クリエイティブ、2018年、P139より作成

担当医とは別の医師に意見を聞くことができるセカンドオピニオンを受けることも選択肢のひとつです。また、がんの治療を行う医療機関や製薬会社 のWebサイトなども参考になります。

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胃がん診察の流れ

検査・診断

検査や診断で理解できないことは繰り返し質問を。

精密検査の流れ 胃がん検診で異常を指摘されたら精密検査を早めに受けましょう。

精密検査には、内視鏡検査、生検、CT検査などがあります。
生検で胃がんが確定診断されると、内視鏡検査やX線検査で胃がんの場所や広がり・深さを調べ、CT検査や超音波検査でリンパ節や全身への転移がないかを調べます。

治療法の選択

治療法・費用など、ひとりで悩まず担当医や医療機関、家族と相談。

治療

手術や抗がん剤の副作用など、つらいことや困ったことは担当医に連絡。

経過観察

治療が終了したあとは、全身の状態、後遺症を確認し、再発を早期に見つけるために、定期的な経過観察を行います。受診と検査の間隔は、がんの状況や治療の内容、体調の回復や後遺症の程度などによって異なります。

術後フォローアップの頻度については、再発の可能性が低いステージⅠでは、術後3年目までは半年ごと、その後は1年ごととし、ステージⅡ/Ⅲでは、術後2年目までは3か月ごと、その後は半年ごとに定期検査を行います。定期検査は、手術から少なくとも5年間は続ける必要があります。詳しくは担当医とご相談ください。

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胃がんの治療

胃がんの治療では、完治を目指し、手術でがんを取り除くことを第一に考えます。手術法は、がんが発生した部位と進行度によって決定します。

まず、胃がんの発生した場所が重要です。
胃がん全体の約8割は、幽門(胃の出口)を含めた胃の下部3分の2の部分に発生します。

胃は上部、中部、下部の3つに分けられます。がんが噴門(胃の入り口)に近い場所に発生すると胃をすべて切除することが多くなります。一方、がんが発生した場所が噴門から離れていれば、幽門側を切除して、胃の一部を残すことができます。

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次に、胃がんの進み具合(早期がんか進行がんか)とリンパ節への転移、他の臓器への転移の有無を総合的に判断したステージに応じて治療法を決定します。

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がん情報サービス 各種がん〔101〕でんし冊子「胃がん」国立がん研究センター 2019年4月作成(日本胃癌学会編「胃癌取扱い規約第15版(2017年10月)」(金原出版)より改変)

胃がんの進み具合は、「早期がん」と「進行がん」に分けられます。
早期がんとは、がんが粘膜層あるいは粘膜下層にとどまり、再発の可能性はきわめて低いものを指し、進行がんとは、がんが筋層より深く入り込み、進行度によって再発する可能性が高いものを指します。

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がん情報サービス 各種がん〔101〕でんし冊子「胃がん」国立がん研究センター 2019年4月作成
(日本胃癌学会編「胃癌取扱い規約第15版(2017年10月)」(金原出版)より改変)

まず、内視鏡検査でがんの深達度、CT検査でリンパ節転移の有無や、遠隔転移の有無(表中のM)を調べます。
遠隔転移がなく胃の切除手術が行われた場合は、手術によって切除された胃の組織を顕微鏡で検査(病理検査)し、最終的にがんの深達度(表中のT)、リンパ節転移の個数(表中のN)の診断が決定されます。
遠隔転移があり、手術にならない場合は、がんの深達度やリンパ節転移は確定されません。
ステージはⅠからⅣまでの4つに分けられ、Ⅰ、Ⅱ、ⅢはさらにA~Cまでそれぞれ細かく分け、表にあるように8段階に分類します。その上で、それぞれの分類に適した治療法を決定します。

ステージ別の胃がん治療

がんの治療では、おもに、がんを取り除く手術が広く行われています。手術には、がんの深さや広さ、転移の状況に応じて内視鏡治療、開腹する外科手術など、さまざまな方法があります。場合によっては、薬物療法や放射線療法を追加することもあります。

ここでは胃がん治療の選択肢を、ステージ別に紹介します。

《ステージⅠ》 がんの深さは粘膜層にとどまっている。リンパ節への転移はない。

内視鏡治療(内視鏡的切除)

ステージⅠのごく早期の胃がんであれば、お腹を切り開かずに内視鏡でがんを切除できることがあります。 がんが粘膜内にとどまっていて、リンパ節転移の可能性が低い場合には内視鏡治療が行われます。

代表的な治療法には、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)や内視鏡的粘膜切除術(EMR) があります。高周波のナイフや輪状のワイヤーを用いてがんを切除します。

開腹が必要な外科手術よりも体を傷つけることが少なく、治療も通常1時間以内に終わります。治療後数日で食事ができるようになり、1週間以内に退院できることが多く、患者さんの負担も少ない治療法です。

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(参考:国立がん研究センターがん情報サービスHP)https://ganjoho.jp/public/dia_tre/treatment/endoscopy.html

縮小手術(機能温存術)

ステージⅠの早期がんで、リンパ節への転移の可能性はあっても低い、また、がんが粘膜内か粘膜下層にとどまっている場合には、定型手術よりも切除する範囲を狭めた縮小手術を行うことがあります。

胃やリンパ節の切除範囲を狭めることで、胃の機能をできる限り残して患者さんの負担や術後の後遺症を軽くすることができます。

腹腔鏡手術

腹腔鏡手術は、お腹に小さな穴を数か所開けて、専用のカメラや器具を挿入して手術をするもので、内視鏡治療の適応とならないステージⅠの早期胃がんが対象です。腹腔鏡手術は、体への負担が少なく、術後の回復も早いといったメリットがあり、実施件数が増えてきています。

近年、腹腔鏡手術ではDa Vinci(ダビンチ)という手術支援ロボットを使用した手術も行われるようになっています。

《ステージⅡ》 がんの深さは粘膜層にとどまっている。リンパ節への転移がある。

定型手術(+補助化学療法)

ステージ Ⅱ、Ⅲでリンパ節に転移した可能性がある場合には、「定型手術」と呼ばれる標準的な手術が行われます。胃の3分の2以上と胃の周り にあるリンパ節を切除するもので、胃がん手術の中でも最も多く行われています。

がんが噴門(胃の入り口)から離れている場合は、幽門(胃の出口)側胃切除術が行われます。がんが噴門付近にある場合は全摘術や噴門側胃切除術が行われます。

いずれの場合も定型手術として、がんが転移している可能性がある部分も取り除く目的で、がんの周辺にあるリンパ節を切除するリンパ節郭清 (かくせい)も行います。がんが転移している可能性がある部分も取り除くことで、再発防止を目指します。

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(参考:国立がん研究センターがん情報サービスHP )https://ganjoho.jp/public/cancer/stomach/treatment.html

胃を切除する手術では、切除部分をつなぐ再建術も同時に行います。
また、手術後の再発予防を目的として、手術後に抗がん剤を使用する「術後補助化学療法」を行う場合もあります。

※薬物療法

胃がんの薬物療法は、おもに、ステージ Ⅱ、Ⅲの術後の再発予防を目的とした術後補助化学療法として、あるいは、手術ではがんを取り除けないステージ Ⅳの進行胃がんや、術後に再発や転移が見つかった場合などに行われます。

最近では、細胞障害性抗がん剤だけでなく、特定のがん細胞やがんの進展に関与する物質を狙い撃ちできる「分子標的薬」や、免疫細胞に働きかける「免疫チェックポイント阻害薬」 も登場しています。

抗がん剤は、一般的にがん細胞だけでなく正常な細胞にも影響を与えてしまうため、吐き気や嘔吐、下痢、食欲不振、口内炎、脱毛、貧血などさまざまな副作用が起こります。薬物療法を受ける際には、これらの副作用について知り、十分な対策をとっておくことも必要です。

《ステージⅢ》 がんの深さは粘膜組織を越えている。リンパ節への転移がある。
(粘膜組織を越えたものを、進行胃がんと呼んでいます。)

定型手術(+補助化学療法)

詳細はステージ Ⅱを参照ください。

拡大手術

がんが周辺の臓器に広がっているステージⅣで、定型手術では取り除けないものの、手術範囲を広げれば取り除ける可能性があるときには、拡大手術を行うことがあります。

《ステージⅣ》 がんの深さは粘膜組織を越えている。他の臓器にも広がり、遠隔への転移がある。

薬物療法

手術ではがんを取り除けないステージⅣの進行胃がんでは、おもに薬物療法が行われます。 治癒を期待して拡大手術が行われることもあります。

【その他】放射線療法

胃がん治療では、骨転移に伴う痛みを取り除くなど、がんに関わる症状を和らげたり、生活の質(QOL)を高めたりすることを目的に、放射線 療法が行われることがあります。

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総合監修

利野 靖先生

横浜市立大学附属病院 消化器・一般外科 診療教授

学歴/職歴

1985年3月
横浜市立大学医学部卒業
1985年6月
横浜市立大学医学部附属病院研修医
1987年6月
横浜市立大学医学部附属病院第一外科常勤特別職
1988年6月
関連施設で研修
1993年6月
横浜市立大学医学部附属病院第一外科助手
1999年4月
横浜市立大学医学部附属病院第一外科講師
2000年9月
横浜市立大学医学部附属病院第一外科講師兼臨床部長
2005年1月
横浜市立大学附属病院一般外科部長兼第一外科講師
2007年4月
横浜市立大学附属病院一般外科部長兼外科治療学准教授
2016年4月
横浜市立大学附属病院一般外科臨床教授兼外科治療学准教授
2019年2月
横浜市立大学附属病院消化器・一般外科診療教授兼外科治療学准教授、
消化器・一般外科部長、呼吸器外科部長、乳腺・甲状腺外科部長