乳がん患者さんの検査・治療・生活

目次

総合監修

avatar1

昭和大学医学部 外科学講座 乳腺外科学部門 教授

中村 清吾先生

詳細を見る
01

乳がんになったら

01

自分の病状やステージ(病期)をよく知ることが、
より良い治療への第一歩。

もし検査で乳がんが見つかったら、早く治療を受けたいとあせる気持ちは当然です。でもまずは自分の病状
をよく知り、自分がもっとも受けたい治療は何かを考えることが、より良い治療のためにはとても重要です。
治療の主役は医師ではなく、あなた自身。医師や医療関係者に、疑問に思うこと、わからないことは、どんな
小さな ことでも遠慮せず、その都度質問してみましょう。また診断や治療方針についてセカンドオピニオンを
受けることも可能です。

01

乳がん診察の流れ

Step.1

がんの疑い

胸のしこりなど体調に異変を感じたら早めの受診を

Step.2

受診

受診前に気になる症状をメモして整理

Step.3

検査・診断

検査や診断で理解できないことは繰り返し質問を

Step.4

治療法の選択

治療法、費用など、ひとりで悩まず担当医や医療関係者、家族と相談

Step.5

治療

抗がん剤の副作用などつらいこと、困ったことは担当医に相談

Step.6

経過観察

3ヵ月~半年ごとの定期的な通院と検診を

Data

乳がんは手術や投薬などにより、
比較的予後のよい病気です。

国立がん研究センターの2017年の調査によると乳がんは女性がかかるがんの第1位。およそ10人に1人の割合でかかると推定されています。ただし、乳がんは他のがんに比べて治療後の経過がよく、早期であれば治る確率の高いがんでもあります。乳がんの進行程度や性質を示すステージ(病期)全体をみても5年相対生存率*は比較的高い数値であることがわかります。

*がん以外の死因による影響を排除した生存率

chart
01

乳がんの治療

手術方法や費用についても納得のいく、
より良い治療法を探していきましょう。

乳がんの治療には「手術」「薬物療法」「放射線治療」などがあり、がんのステージによって治療法は一人ひとり異なります。治療中は、迷ったり、思い悩むこともあると思いますが、担当医や医療関係者に相談しながら、あなたらしい、より良い治療法を探していきましょう。

手術

部分切除術

全摘術

部分切除術は乳房の一部を切除し、全摘術では乳房とわきの下のリンパを切除します。

薬物療法

化学療法(抗がん剤)

分子標的治療

ホルモン療法

再発の危険性を下げる、手術前にがんを小さくする、手術が困難ながんや再発に対して症状を緩和するなどを目的に薬物療法を行います。

放射線治療

手術後も小さながん細胞が残り、再発の危険がある場合に行います。
01

乳がん治療中の食事と生活

食事制限は少ないので、体調に合わせて食べやすい、
作りやすい食事を優先しましょう。

治療中の生活では、がんばりすぎないことがとても重要です。乳がんの治療においては食事制限をされることは少ないので、体がつらい時、食欲がない時は、食事の回数や内容を気にするよりも、食べやすさ、作りやすさを最優先に。無理のない楽しい食事を心がけて。運動も気軽な散歩などから始めて、体力の回復に合わせて徐々に運動量を増やしていきましょう。

乳がん治療中の食事のポイント

体重増加

肥満は乳がんの再発リスクを高めるので、食べすぎに気をつけて

味覚障害

一時的に塩分に鈍感になることもあるので、塩分の摂りすぎには要注意

吐き気、嘔吐

嘔吐後は脱水に気をつけて、十分な水分補給を

アルコール

飲酒は乳がんの発症リスクを高めるともいわれているため、ほどよく楽しむ程度に

大豆

大豆イソフラボンの摂取により乳がん再発リスクが下がる可能性が。日々の献立の中で大豆食品を積極的に

乳製品

乳製品と乳がん再発予防の関連性は明らかになっていません。ただし、肥満を招かないよう食べ過ぎには注意を

01

乳がんと仕事

担当医と相談し、
治療しながら働くという方法も。

乳がんの治療が始まると、まとまって休む期間が必要になるため、これまでと同じように仕事を続けることが難しくなることもあります。仕事については、まずは担当医に、どういう働き方を希望するのか率直に相談してみましょう。そのうえでお勤め先の社内制度や公的制度を積極的に活用することで、治療をしながら働くためのより良い方法を見つけられる可能性が高まります。公的制度についてわからないことがあれば、通院先のがん相談支援センターや医療ソーシャルワーカーに相談するのもおすすめです。

01

乳がんの再発・転移

術後5年間は3〜6ヵ月ごとの定期検診を。

乳がんは、治療後2、3年、もしくは5年前後に再発することが多いのですが、10年、20年を経過して再発することもあります。また治療が終わった後でも、肉眼や画像検査で見つけられない小さながん細胞がすでに別の臓器に移動している場合があり、時間を経て肺や肝臓、脳への転移として現れることもあります。乳がんの再発・転移を早期に発見するためには、術後5年間は3~6ヵ月ごと、5年以降も6ヵ月~1年ごとに定期検診を受け、手術をしていない乳房も年1回はマンモグラフィや超音波による検査を受けましょう。 また月1回はセルフチェックで手術した部位の周囲や反対側の乳房を確認し、少しでも異変を感じたら、すみやかに受診することがおすすめです。

乳がんの再発・転移を早期に発見するためにしこり、ひきつれをセルフチェック

Check.1

鏡を見ながら乳房の形や大きさをチェック。

腕を上げた状態でも同様のチェックを行います。

Check.2

指の腹で、脇の下から乳房にかけて渦巻き状に円を描くように触ってチェック。

Check.3

指の腹で、縦・横にも触ってチェック。

Check.4

最後は仰向けに寝て脇から乳房にかけてまんべんなく触ってチェック。

avatar7

総合監修

中村 清吾先生

昭和大学医学部 外科学講座 乳腺外科学部門 教授

1982年3月
千葉大学医学部卒業
1982年4月
聖路加国際病院外科レジデント
1993年2月
同病院情報システム室室長兼任
1997年
M.D. Anderson Cancer Centerほかにて研修
2005年6月
聖路加国際病院ブレストセンター長(初代)
乳腺外科部長
2006年4月
聖路加看護大学 臨床教授兼務
2010年6月
昭和大学医学部 外科学講座 乳腺外科学部門 教授
昭和大学病院ブレストセンター長
2014年4月
昭和大学薬学部病院薬剤学兼担講師
徳島大学客員教授
2016年2月
天津医科大学客員教授