
1人分 198kcal 食塩相当量 1.9g
帆立缶で旨みをプラス
こんにゃく麺でも大満足。
炒りたてのごまをたっぷり
香ばしい香りもごちそう。
今回は七夕にちなんだこんにゃくそうめんのレシピをご紹介します。七夕かざりのように色とりどりかつ涼やかで、食感よく低カロリー。簡単に手に入る材料だけで作れるので、ちょっと食事量を調整したいときに、逆に食欲が落ちがちな暑い時期にもおすすめの一品です。
どんなに体に良くても、食べて「おいしい」と思わなければ、日常の食生活に取り入れるのは難しいですよね。とかく塩分やカロリーが控えめな料理は、体にいいとわかっていても、味わい的には物足りなく感じがち。いかに満足感を得られるように仕上げるかが腕の見せどころです。
今回は、帆立缶がポイント。鶏ささ身と一緒にビニール袋に入れて低温のお湯の中でゆっくり火を入れることで、淡泊な鶏ささ身に帆立の風味が加わり、ぐっと旨みが増します。もうひとつ、追いがつお仕上げのだしがポイントです。忙しいとき、やむを得ず市販のめんつゆを使うときも、この追いがつお仕上げをするだけで、だしつゆの味が格段に深く、上品になります。昆布とかつおのだしに椎茸の戻し汁、帆立の風味。イノシン酸、コハク酸、グルタミン酸、グアニル酸の四重層。味わいが重層的で、物足りなさを感じさせません。
もうひとつのポイントは、炒りたてのごま。必ず生ごまを用意し、鍋でじっくり炒っていきます。白色が黄金色になり、ごまの一粒一粒から油が出てくるまで、しっかり炒る。これを盛り付けたそうめんにかけると、めんつゆの水分と反応して、じゅっと湯気が立ち、同時に香ばしい香りが立ちます。すぐさまテーブルへと運び、香ばしい香りごと味わうのが正解です。この炒りごまの盛り付け、来客時などに披露すると、ちょっと盛り上がりますよ(笑)。香りが豊かだと、塩気や油脂分が少なくても、物足りなさを感じにくくなります。
具材は季節感と色彩、風味のバランスを考えてそろえます。オクラの青、みょうがの赤、しょうがの黄色が美しく、粘り気、香味、辛みと、味わいもバラエティ豊か。満足度が高く、続けられる、いや「続けたくなる」ヘルシーメニューです。
昆布だしを火にかけてかつお節(だし用)を加え、約3分煮てから、濾す。
みりんを入れた鍋を火にかけてアルコール分を飛ばし、(1)のだし、しょう油、かつお節(追いがつお用)を加えてひと煮立ちさせる。
干し椎茸を水で戻しておく。(2)のだし100ccに椎茸と椎茸の戻し汁大さじ4を加えて、弱火で約15分炊き、常温に冷ます。
オクラは塩(分量外)で板ずりして湯通しし、色止めをして半分に切る。みょうがはせん切りにし、水にさらしておく。しょうがはすりおろす。
鶏ささ身は筋や汚れを取り除き、平らに開いてほぐした帆立貝(煮汁も)と一緒にビニール袋に入れ、60℃の湯で60分加熱する。
低温で長時間加熱することで、しっとり火が入り、帆立貝の旨みも鶏ささ身になじむ。
こんにゃく麺をゆでて、冷水でしめておく。器に盛って(3)のだしを張り、(5)の鶏ささ身と帆立、オクラ、みょうが、椎茸、おろししょうがを盛り付ける。
生ごまを炒り、炒りたてを(6)にかける。
生ごまの炒りたては香りが格別。ごまの粒から油分が出るまでしっかり炒り、すぐに盛り付けた麺にかける。
収穫したごまを加工するときに、精製後に余分な汚れを落とすため水洗いします。この洗浄後のごまを加熱乾燥したのが今回使用した洗いごま。それを香ばしくなるまで炒ったものが、一般に流通している炒りごまになります。洗いごまは中まで火が通ってないので、必ず食べる前に加熱調理が必要。手間がかかりますが、炒りたてのごまの香りを知ってしまうと、市販の炒りごまでは物足りなく感じてしまうほど芳しいです。栄養価は炒りごま同様、脂質、たんぱく質のほか、カルシウム、マグネシウム、鉄などのミネラル類を豊富に含む栄養価の高い食材。毎日の食生活に上手に取り入れるためにも、そうめんに加える炒りたて洗いごま、活用して下さい。
1969年、大分県生まれ。京都『たん熊 北店』、福岡『浄水茶寮』(現閉店)勤務を経て、赤坂『BASSIN』料理長就任。2006年、東京・銀座のレストラン型アンテナショップ『坐來大分』の店長兼料理長に就任。大分県内の生産者と連携し、かぼす、椎茸、豊後牛、関あじ、関さばなど優れた食材の普及に尽力し、現在も顧問を務める。2011年農林水産省「料理マスターズ」ブロンズ賞受賞。2014年、『八雲茶寮』料理長に就任。日本の風土が育んだ食材や郷土料理など、古来からの知恵を活かした料理を身上とする。
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